「利回り5.9%」 「実質114%の大増配」 「PBR1倍を堅持する」
今、高配当株投資家の間で、東亜道路工業(1882)が大きな注目を集めています。
2024年4月の1:5株式分割を機に、株主還元方針を劇的に転換。見た目上は「減配」に見える配当も、実質的には「114%増配」という驚異的な内容でした。
さらに、先日発表された2026年3月期第2四半期決算短信でも、原材料価格高騰が懸念される中、通期の「営業利益+29.6%」という増益予想と、利回り5.9%の源泉となる「年間配当90円」の予想をしっかり維持。そのコミットメントの強さを見せています。
しかし、配当性向100%超えというアグレッシブな還元は、本当に持続可能なのでしょうか?
この記事では、東亜道路工業がなぜこれほどの大胆な高配当政策へ舵を切れたのか、その理由を「鉄壁の財務」と「国土強靱化という安定事業(モート)」の両面から徹底的に分析していきます。
東亜道路工業株式会社
証券コード:1882
【会社概要】どんな会社?
独立系の道路舗装大手。アスファルト乳剤(国内最大手)などの「製造・販売」と、道路舗装工事の「施工」を一手に行う「TOA Style」が強み。 公共事業の比率が高く、国土交通省が主要な販売先。
- ✔事業領域:「建設事業」(道路舗装、土木)と「製造販売事業」(アスファルト合材、アスファルト乳剤)が中核。
- ✔競争優位性:政府の「国土強靱化基本計画」に基づく、安定したインフラ維持・修繕需要(長期的なモート)。
- ✔リスク要因:公共事業予算への依存。原材料(原油)価格の高騰。建設業の「2024年問題」(人件費高騰)。
- ✔財務基盤:極めて強固(財務要塞)。自己資本比率61.1%。実質無借金(ネットキャッシュ)経営。
投資ハイライト:利回り5.9%、PBR1倍維持への「劇的転換」
- 圧倒的な利回り: 予想配当90円、株価1,525円換算で 約5.90%。
- 最強の還元方針: 「PBR1倍を堅持する」という強力なコミットメント。その達成手段として高配当(DOE 7.7%)を実行。
- 卓越した実績: 1:5株式分割に伴い、2025年3月期に「実質114.3%」の大増配を断行。実質6年連続減配なし(予想含む)。
- 【最大の特徴】 自己資本比率61.1%の鉄壁の財務。これが配当性向100%超えの還元を支える持続可能性の源泉。
- 【自社株買い】 機動的に実施。2024年3月期に12.1億円の取得実績。配当と並ぶ還元策。
5.90%
実質6年連続減配なし(予想)
17.2倍
1.36倍
割安性ではなく、高利回りで評価される銘柄
7.50%
目標9%へ改善途上。高配当で分母を圧縮61.1%
財務基盤は鉄壁(実質無借金)最重要指標①:配当金と配当利回りの推移(10年)
グラフは、1:5株式分割(2024年4月)の影響を調整した「実質的」な1株当たり配当金と、配当利回りの10年間の推移です。
実質配当金(棒グラフ・左軸)は、2024年3月期まで緩やかな増配でしたが、2025年3月期に「42円 → 90円」へと、実質114.3%の歴史的な大増配を断行したことが確認できます。
配当利回り(折れ線・右軸)は、株価の変動を受けつつも、2025年3月期以降の積極的な株主還元により、5%を超える非常に高い水準で推移していることが分かります。
最重要指標②:EPSと配当性向の推移(10年)
グラフは、企業の「稼ぐ力」と「還元姿勢」の10年間の推移を示しています。
EPS(棒グラフ・左軸)は、1株当たり利益(円)です。2019年3月期に一時的にマイナス(赤字)となりましたが、その後は安定的に推移しています。
配当性向(折れ線・右軸)は、利益のうち配当に回した割合(%)です。2024年3月期に52.5%、2025年3月期には100.9%へと劇的に上昇しており、「PBR1倍堅持」のため利益の全額を還元する方針へ転換したことが明確に分かります。
財務健全性:「鉄壁」
財務基盤は極めて強固。高い配当利回りの絶対的な安全性(減配リスクの低さ)を示している。
| 指標 | 時点 (25/3期) |
|---|---|
| 自己資本比率 | 65.1% |
| 有利子負債 | 僅少 |
| 現金及び同等物 | 163億円 |
| ネットD/Eレシオ | 実質ネットキャッシュ |
| 流動比率 | 185.7% |
投資判断の核心
2025年3月期はフリーキャッシュフローがマイナス(-17億円)だったが、これは好調な業績を反映した売上債権の増加(運転資本の増加)が主因。本業の稼ぎ(営業CF)は黒字基調であり、163億円の豊富な手元資金と65%超の自己資本比率が、高水準の配当維持を強力に下支えしている。
収益性・資本効率 (ROE)
ROE(自己資本利益率)は2025年3月期実績で8.18%と、PBR1倍の目安とされる8%を超えており、資本効率は合格水準。過去の「中期経営指針2025」ではROE 8.0%を目標としていたが、これを1年前倒しで達成した。
リスク要因(配当の持続性)
財務リスクは皆無だが、利益率の変動が配当の源泉(純利益)を脅かすリスクがある。
- 原材料価格の高騰: 主原料のアスファルトは原油価格に連動。価格転嫁が遅れれば利益率が圧迫される。(2026年3月期予想は価格転嫁の成功が前提)
- 公共事業への依存: 業績が国の予算動向に左右される。ただし、インフラ老朽化対策(国土強靱化計画)は長期・安定需要であり、リスクは限定的。
- 2024年問題(人件費): 建設業界の労働時間規制による人件費高騰。DXや省人化による生産性向上が急務。
- (ポジティブな点) PBR1倍へのコミット: これらのリスク(低成長・低利益率)を経営陣も認識しており、その対策こそが「PBR1倍堅持」=「高配当による資本圧縮」である。経営の強い意志が確認できる。
株価指標とビジネスモデルの強み(競合比較)
東亜道路工業のPER 17.2倍、PBR 1.36倍は、建設セクターとして「割安」とは言えません。
本銘柄はPBR1倍割れの是正プロセスが完了し、新たな株主還元ステージに入った「高利回り債券代替株(インカム銘柄)」として評価すべきです。
競合他社と比較しても、配当利回りの高さ(5.90%)と自己資本比率の高さ(61.1%)が突出しており、財務健全性を背景にした高還元策が評価されています。
| 指標 | 東亜道路工業 (1882) | 世紀東急工業 (1898) | スバル興業 (9632) | 三井住建道路 (1776) | 明星工業 (1976) |
|---|---|---|---|---|---|
| 時価総額(億円) | 769 | 586 | 436 | 135 | 873 |
| 配当利回り(%) | 5.90% (予) | 4.47% (予) | 2.44% (予) | 3.42% (予) | 3.79% (予) |
| PER(予想) | 17.2倍 | 12.5倍 | 13.9倍 | 32.0倍 | 14.0倍 |
| PBR(実績) | 1.36倍 | 1.38倍 | 1.14倍 | 1.03倍 | 1.09倍 |
| ROE(実績) | 7.50% | 9.45% | 9.39% | 1.23% | 12.81% |
| 自己資本比率(%) | 61.1% | 50.5% | 87.0% | 55.2% | 77.4% |
※指標は2025年11月7日時点または直近決算に基づく。
成長戦略と株主還元 (中計「2024-2026」)
中計では「PBR1倍を堅持」「ROE9%以上」を目標に掲げ、資本コストを強く意識した経営へ転換。
- 業績見通し: 売上は横ばい(+0.3%)だが、利益率改善(営業利益+29.6%)を目指す(26/03期予想)。原材料高の価格転嫁が焦点。
- 成長ドライバー: 「国土強靱化」に基づくインフラ維持・修繕という、長期的・安定的な公共事業需要。
- 最重要方針(株主還元):
- 「PBR 1倍を堅持する」
- 「ROE 9%以上を目指す」
- 上記達成の手段として、高配当 (DOE 7.7%)と機動的な自社株買いを実行。
結論:投資判断は「A- (投資適格)」
東亜道路工業は、長期的なインカム(配当)目的の投資対象として「投資適格」と判断します。
最大の魅力は「PBR1倍堅持」という明確なコミットメントと、それを実行した「実質114%増配」「DOE 7.7%」という劇的な還元方針への転換です。
これを支えるのは「自己資本比率61.1%」「実質無借金」の鉄壁の財務と、「国土強靱化」という安定した事業基盤です。
配当性向100%超えや一時的な営業CFマイナスは懸念材料ですが、潤沢なネットキャッシュが安全弁として機能します。
株価(PER/PBR)の割安性で買う銘柄ではなく、利回り5.9%という「高利回り債券代替株」として、長期ポートフォリオの中核に適した銘柄と評価します。
主な投資用語の解説
PER (株価収益率): 株価が1株当たり純利益の何倍かを示す指標。低いほど割安とされる。
PBR (株価純資産倍率): 株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標。1倍が解算価値とされ、低いほど割安とされる。
ROE (自己資本利益率): 企業が自己資本(株主資本)を使ってどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標。高いほど収益性が良い。
DOE (純資産配当率): 「Dividend on Equity」の略。企業が株主資本(純資産)に対し、どれだけの配当を支払ったかを示す割合。利益変動の影響を受けにくく、安定配当の指標として重視される。(東亜道路は7.7%を達成)
配当性向: 企業が純利益のうち、どれだけを配当金として株主に支払ったかを示す割合。(東亜道路は100.8%を達成)
自己資本比率: 総資産に占める自己資本の割合。高いほど財務の安全性が高い(東亜道路は61.1%と非常に高い)。
ネットD/Eレシオ (純有利子負債自己資本比率): 実質有利子負債が自己資本の何倍かを示す指標。低いほど(マイナス含む)財務の安全性が高い。
東亜道路工業(1882)の分析、いかがでしたでしょうか。
最大のポイントは、同社が「PBR1倍割れの解消」という市場の要請に対し、「実質114%増配」「DOE 7.7%」という満額回答で応えた点です。
「配当性向100%超え」と聞くと持続性に不安を感じますが、その実態は異なります。
- 「実質無借金・自己資本比率65%」という鉄壁の財務が、高配当を支える絶対的な安全弁となっていること。
- 「国土強靱化計画」という国家プロジェクトに支えられ、事業(インフラ維持・修繕)が極めて安定的であること。
- 「PBR1倍堅持」を中計でコミットした以上、安易な減配はできないという経営陣の強い意志があること。
先日発表された第2四半期決算でも、原材料高の価格転嫁を進め、通期の増益・高配当計画を維持しており、その進捗は順調と言えます。
結論として、東亜道路工業は株価の値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う銘柄ではなく、利回り5.9%という高いインカムを長期で受け取り続ける**「高利回り債券代替株」**として、ポートフォリオの中核に適した「投資適格」銘柄と評価します。
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※本記事は特定の銘柄や証券会社の利用を推奨するものではありません。投資の最終決定はご自身の判断でお願いいたします。
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