結論:投資判断は「S評価 (Strong Buy)」

結論から申し上げます。立川ブラインド工業 (7989) は、現在**「S評価(積極投資推奨)」**です。

地味な製造業と侮るなかれ。今、この会社で**「静かなる革命」**が起きています。 象徴的だったのが、直近の決算アクションです。第3四半期決算で純利益予想をわずか1億円上方修正した際、その増益分を「即座に・全額」配当金へ上乗せしました。

「稼いだ分はすぐに株主へ返す」という、かつての同社では考えられなかったスピード感。 創業から積み上げた**自己資本比率84.5%という「鉄壁の財務」を武器に、長年の「貯め込み体質」から「積極還元(累進配当)」**へと劇的な転換を遂げました。

  • 好決算: 3Q累計で純利益+19.8%の増益、通期配当は前期比+24円の70円
  • 割安性: 解散価値を大きく割れる PBR 0.72倍 で放置
  • 安全性: 実質無借金のキャッシュリッチ企業(倒産リスク皆無)

「株価が下がりにくい鉄壁の守り」と「PBR是正による株価上昇の余地」を両立する、長期投資家にとって理想的な**「負けない投資」**の筆頭候補。なぜ今、立川ブラインドが買いなのか?その全貌をデータで解説します。

【S評価】立川ブラインド(7989)は買いか?自己資本比率84%・累進配当の「鉄壁バリュー株」

立川ブラインド工業 (7989)

財務は「鉄壁」。還元の覚醒でPBR是正を狙うキャッシュリッチ企業

市場:東証プライム 業種:金属製品(インテリア) 時価総額:約400億円 小型バリュー

【会社概要】どんな会社?

「タチカワブラインド」で知られる、ブラインド・ロールスクリーン業界のリーディングカンパニー(国内シェアトップクラス)。 多品種少量生産によるオーダーメイド対応に強みを持ち、安価な既製品と差別化することで高い利益率(営業利益率10%超)を維持している。 特筆すべきは製造業として異次元の財務健全性(自己資本比率84.5%)。近年は「貯め込み体質」から「積極還元」へと大きく舵を切った。

  • 事業モデル:室内外装品(売上の84%)が主力。駐車場装置や減速機といったニッチ分野でも高収益を確保。
  • 財務基盤:自己資本比率 84.5%。実質無借金経営であり、不況や金利上昇に対する耐性は「SSSランク」。
  • 還元姿勢:「累進配当」を明言し、総還元性向50%を目標に掲げる。今期は前期比大幅増配(+24円)を実施。

投資ハイライト: 【総合評価 S】 Strong Buy (積極投資推奨)

  • 還元革命: 「累進配当」の公約化と、業績上方修正分を即座に増配に回す株主志向への転換。
  • 超割安放置: PBR 0.72倍。ネットキャッシュを考慮した実質価値と比較しても極めて割安な水準。
  • 鉄壁の守り: ネットD/Eレシオ -29.1%。豊富な手元資金は、自社株買いやM&Aなどの戦略的オプションの源泉。
  • 【結論】 ダウンサイド(下値)リスクが極めて限定的。「守りながら増やす」長期投資の理想形に近い銘柄。
予想配当利回り

3.59%

配当 70.0円 (前期比+24円)

PER (25/12期予) / PBR (実績)

12.2

/

0.72

解散価値を大きく割れる「超割安」水準

営業利益率

10.3%

製造業として優秀な二桁収益を維持
自己資本比率 (財務評価:SSS)

84.5%

実質無借金のキャッシュリッチ企業

最重要指標①:配当トレンド(覚醒した還元姿勢)

配当金の推移と利回り水準

長らく年間15円〜30円程度の安定配当が続いていましたが、フェーズが完全に変わりました。 2023年以降、36円→46円→70円と加速度的に増配を実施。 棒グラフは配当金、折れ線(ゴールド)は配当利回りです。点線の「過去平均利回り(約2.1%)」と比較して、現在の利回りが突出して高いことが分かります。

※2025年12月期は予想数値(70円)です。利回りは各年末株価(25年は直近株価)より算出。

最重要指標②:EPS成長と配当性向

EPS(1株利益:棒グラフ)は右肩上がりで成長しており、配当の原資となる「稼ぐ力」は確実に向上しています。 配当性向(折れ線)は、かつての20%台から44%水準へ上昇。「総還元性向50%」を目標としており、自社株買いを含めればさらに株主へのリターンは手厚くなります。

最重要指標③:高収益体質の維持

売上高(棒グラフ)は住宅着工減の逆風下にありながら、リフォーム需要の取り込みで過去最高水準を更新中。 営業利益率(折れ線)は、原材料高を価格転嫁で吸収し、10%台の高水準をキープしています。これが同社の「ブランド力」と「製品競争力」の証です。

最重要指標④:買い時判断と理論株価

PBR1倍割れ是正の国策的追い風を受け、株価は堅調ですが、バリュエーションは依然として「超割安」です。
(※チャートは楽天証券等を参照推奨)

立川ブラインド (7989) 10年月足チャート

株価パフォーマンスとリスク特性

  • ボラティリティ(β値) 0.43 (極低)

    TOPIXとの連動性が低く、独自の値動き。暴落耐性が高い。

  • 直近1年騰落率 堅調に推移 (プラス圏)

    PBR是正期待と増配発表が株価を下支え。

  • PBR 1倍水準株価 約2,700円

    現在の株価(約1,950円)から約38%の上値余地あり。

理論株価と買い時判断

適正評価ゾーン (PER 15倍) 標準的な評価への回帰
2,400円 前後
買い推奨 (利回り3.5%超)
2,000円以下
Strong Buy (利回り3.7%超)
1,900円以下

現在値(1,950円近辺)は積極的なエントリーゾーン内です。利回り3.6%を確保しつつ、PBR是正によるキャピタルゲインを待つ戦略が極めて有効です。

財務健全性:異次元の「SSSランク」

借金がほぼゼロで、手元資金が潤沢。倒産リスクは皆無に近く、株主還元余力は絶大です。

指標数値 (25/12期 3Q時点)評価
自己資本比率84.5%製造業平均(40%)を圧倒。超安全。
ネットD/Eレシオ-29.1%実質無借金。キャッシュリッチ。
流動比率544%短期支払い能力は過剰なほど高い。

SWOT分析:強みとリスク

S 強み (Strengths)

  • 国内トップシェアのブランド力
  • 多品種少量生産による高い参入障壁
  • 自己資本比率84.5%の鉄壁財務
  • 価格転嫁可能な製品競争力

W 弱み (Weaknesses)

  • 国内市場への依存度が高い
  • 過剰資本によるROEの低迷(改善中)
  • 若年層へのブランド訴求力

O 機会 (Opportunities)

  • 断熱・省エネリフォーム需要の拡大
  • スマートホーム(電動ブラインド)普及
  • PBR1倍是正に向けた還元強化

T 脅威 (Threats)

  • 国内新設住宅着工数の減少
  • 原材料・エネルギーコストの高騰
  • 施工職人の不足・高齢化

競合他社比較 (バリュエーション)

社名 PER(倍) PBR(倍) 利回り 特徴
立川ブラインド (7989) 12.2 0.72 3.59% 財務最強&累進配当。割安感No.1。
サンゲツ (8130) 13.9 1.57 5.03% 壁紙首位。還元積極的だがPBRは既に1倍超。
トーソー (5956) 12.6 0.34 1.77% PBR極低だが利回り・ROEも低い。

分析:サンゲツは既に市場評価が高い一方、立川ブラインドは「高収益・高財務」にも関わらずPBR1倍割れで放置されており、今後のリレイティング(株価見直し)余地が最も大きいと言えます。

結論:投資判断は「S (Strong Buy)」

立川ブラインド工業は、典型的な「キャッシュリッチ・バリュー株」から「株主還元重視のクオリティ株」へと変貌を遂げる真っ只中にあります。 84.5%という鉄壁の自己資本比率は、不況下でも配当を維持する能力を保証するものであり、新たに導入された「累進配当」政策がその意志を補完しています。 PBR 0.72倍という現状は、市場が同社の変化をまだ十分に織り込んでいないことを示唆しており、長期投資家にとっては絶好のエントリー機会です。守りを固めつつ、着実なインカムとキャピタルを狙える「Sランク」の投資対象と判断します。

評価カテゴリー別スコア

カテゴリー ランク 評価の根拠
財務健全性 SSS 自己資本比率84.5%は上場企業の中でもトップクラス。実質無借金であり、あらゆる経済危機に耐えうる「金庫」のような企業。
成長性 B+ 住宅着工減の逆風はあるが、リフォーム需要の開拓と高付加価値品へのシフトで過去最高売上・利益を更新する底力がある。
株主還元 SS 「累進配当」導入と総還元性向50%目標が強力。業績上方修正分を即増配に回すなど、株主への還元意識が劇的に向上している。
割安性 S PBR 0.72倍は解散価値を大きく下回る。PER 12倍台も市場平均より安く、ダウンサイドリスクが非常に小さい。
競争優位性 A オーダーメイド製品による参入障壁と、圧倒的なブランド力・シェア。価格転嫁力の高さが競争優位の証。

このコンテンツは、情報の提供を目的としており、売買の推奨等を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
※データは提供された分析レポート(2025年12月20日時点)に基づいています。

編集後記:最強の「金庫」株を持つ安心感

今回の分析を通じて見えてきたのは、派手な成長ストーリーではなく、**「圧倒的な安心感」**でした。

立川ブラインドは、いわば**「高利回りの金庫」**のような銘柄です。 直近の決算でも示された通り、本業は着実に増益基調。不況が来てもビクともしない財務の厚みがありながら、PBR1倍割れ是正という国策の追い風を受け、株主への還元を加速させています。

株価1,950円近辺(利回り約3.6%)は、市場がまだこの「還元の本気度」を十分に織り込んでいない**「バーゲン価格」**と言えるでしょう。 短期的な株価の上下に一喜一憂せず、新NISAなどでじっくりと配当を受け取りながら、資産の成長(PBR是正)を待つ。 そんな「大人の投資」に、これほど適した銘柄はそう多くありません。

ポートフォリオの守りを固めたい方、銀行に預けるより賢く資産を働かせたい方は、ぜひ監視リストに入れてみてください。

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※本記事は特定の銘柄や証券会社の利用を推奨するものではありません。投資の最終決定はご自身の判断でお願いいたします。

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