「業績は下方修正、なのに配当は『増配』」 そんな不思議な銘柄に、新NISAの成長投資枠で出会いました。
「泉州電業(9824)」電線の専門商社として「実質11年連続増配」という卓越した実績を持つ優良企業です。
しかし、2025年9月4日、同社は「2025年10月期通期の業績下方修正」を発表しました。 半導体や建設市場の需要回復が遅れていることが原因で、株価も軟調な展開となっています。
「ああ、これで連続増配もストップか…」 そう思った投資家も多かったはずです。
しかし、注目すべきはまさにその日。 業績予想を引き下げたにも関わらず、配当予想は1株あたり140円から150円へと引き上げる「増配」の方針を維持したのです。
なぜ、業績が苦しいはずなのに増配できるのか? この下方修正は「絶好の買い場」なのか、それとも「危険な罠」なのか?
この記事では、泉州電業が持つ「鉄壁の財務基盤」と「総還元率50%」という強力なコミットメントを徹底解剖し、この逆風下での増配が本物かどうかを分析します。
株式会社泉州電業
証券コード:9824
【会社概要】どんな会社?
電線・ケーブルの専門商社。FA(ファクトリーオートメーション)向けや建設・インフラ向けに強み。 全国の物流網による「ジャスト・イン・タイム」納品と、メーカー共同開発の「オリジナル商品」が参入障壁となっている。
- ✔事業領域:「FA向け」(半導体製造装置、ロボット等)と「建設・インフラ向け」(データセンター、再エネ等)が中核。
- ✔競争優位性:全国18拠点の物流網(JIT体制)、高付加価値のオリジナル商品、端末加工サービス(高スイッチングコスト)。
- ✔リスク要因:半導体・建設市場の景気循環リスク(直近で下方修正)。銅価格の変動。
- ✔財務基盤:極めて強固(財務要塞)。自己資本比率53.8%。実質無借金(ネットキャッシュ)経営。
投資ハイライト:利回り3.27%、「11年連続増配」の実績
- 堅実な利回り: 予想配当150円、株価4,585円換算で 約3.27%。
- 最強の還元方針: 「総還元率50%以上」かつ「配当性向35%以上」という強力なコミットメント。
- 卓越した実績: 実質11年連続増配(2025年10月期予想で12年目)。株式分割(2023年 1:2)調整後の実績。
- 【最大の特徴】 自己資本比率53.8%の鉄壁の財務。これが高還元の持続可能性を担保している。
- 【株主優待】 あり。100株以上でQUOカード。1年以上の継続保有で1,000円→2,000円に倍増。長期株主を優遇。
3.27%
実質12年連続増配(予想)
11.7倍
1.62倍
ROE 14.4%を反映した高PBR・高ROE銘柄
14.4%
資本効率は極めて良好(目標15%以上)53.8%
財務基盤は鉄壁(実質無借金)最重要指標①:配当金と配当利回りの推移
グラフは、株主還元の「金額」と「割合」を示しています。
配当金(棒グラフ・左軸)は、1株当たりに支払われた金額(円)です。実質11年連続で増配(維持含む)しており、右肩上がりの推移が確認できます。
配当利回り(折れ線・右軸)は、株価に対する配当の割合(%)です。株価上昇局面では利回りが低下する傾向がありますが、増配によって魅力的な水準を維持しています。
最重要指標②:EPSと配当性向の推移
グラフは、企業の「稼ぐ力」と「還元姿勢」を示しています。
EPS(折れ線・左軸)は、1株当たり利益(円)です。企業の稼ぐ力であり、配当の源泉です。景気循環(2020年、2025年)の影響を受けつつも、中長期的には力強く成長しています。
配当性向(折れ線・右軸)は、利益のうち配当に回した割合(%)です。中計目標の35%付近で安定的に推移しており、無理のない範囲で還元していることが分かります。
財務健全性:「財務要塞」(高還元の源泉)
卓越した株主還元は、この圧倒的な財務基盤に支えられている。
| 指標 | 時点 (24/10期 or 25/7期) |
|---|---|
| 自己資本比率 | 53.8% (25/7末) |
| 有利子負債 | 約3.8億円 (24/10末) |
| 現預金 | 約324億円 (25/7末) |
| ネットD/Eレシオ | ネットキャッシュ (実質無借金) |
投資判断の核心 (フリーキャッシュフロー)
2024年10月期の実績フリーCF(試算)は約63.6億円。
これに対し、同期間の還元支出(配当+自社株買い)は約35.7億円。
本業の稼ぎ(FCF)が、株主還元総額の2倍近くあり、配当の支払い余力は全く問題ない。「タコ足配当」とは無縁であり、持続可能性は極めて高い。
リスク要因(直近の下方修正)
財務リスクは皆無だが、業績がマクロ経済(景気循環)に左右される点が最大のリスク。
- 景気循環リスク(顕在化): 半導体製造装置・工作機械・建設市場の動向に業績が連動。直近の2025年9月下方修正も、需要の「消滅」ではなく「回復遅れ・工期遅延」によるもの。
- 銅価格変動リスク: 銅価が売上や在庫評価に影響を与える。ただし、JIT(ジャスト・イン・タイム)モデルがリスクを一定程度軽減。
- (ポジティブな点) 下方修正時の「増配」: 業績予想を下方修正した*まさにその日*に、配当予想は140円→150円へ「増配」を維持した。これは経営陣の還元姿勢と財務への自信の表れである。
株価指標とビジネスモデルの強み
泉州電業のPBR 1.62倍、ROE 14.4%は、競合(例:因幡電機産業 ROE 6.5%)と比較して「高PBR・高ROE」の優良株として評価されている。
これは同社の「JIT物流網」「高付加価値商品」という強力なビジネスモデル(モート)を反映したものであり、妥当な評価と言える。
同社の魅力はPBRの割安性ではなく、「利回り3.27%」「総還元率50%」「11年連続増配」という、還元の「質」と「高さ」にある。
| 指標 | 泉州電業 (9824) | 特徴 |
|---|---|---|
| 時価総額(億円) | 825 | 電線商社として大型 |
| 配当利回り(%) | 3.27% (予想) | 総還元率50% |
| PER(予想) | 11.7倍 | 景気循環の底で適正水準 |
| PBR(倍) | 1.62倍 | ROE 14.4%を反映 |
| ROE(%) | 14.4% (実) | 資本効率は極めて良好 |
| 自己資本比率(%) | 53.8% | 実質無借金(鉄壁) |
※指標は2025年10月24日時点または直近決算に基づく。
成長戦略と株主還元 (中計「SS2027」)
中計【SS2027】では「ROE 15%以上」「PBR 2.0倍以上」を目標に掲げ、資本コストを意識した経営を明確化。
- 業績見通し: 短期は下方修正も、需要の「先送り」に過ぎない。半導体・データセンター・再エネといった成長分野が中長期のドライバー。
- 成長ドライバー: 高利益率の「FA向け」オリジナル商品と、物量を稼ぐ「建設・インフラ向け」が両輪。
- 最重要方針(株主還元):
- 「総還元率 50%以上」
- 「配当性向 35%以上」
- 8年連続の自社株買い(+ 株式消却)
結論:投資判断は「投資適格」
泉州電業は、長期的なインカム(配当)目的の投資対象として「投資適格」と判断します。
最大の魅力は「総還元率50%以上」「配当性向35%以上」という明確なコミットメントと、「実質11年連続増配」という卓越した実績です。
これを支えるのは「自己資本比率53.8%」「実質無借金」の鉄壁の財務と、ROE 14.4%という高い収益性です。
直近の業績下方修正は「需要の先送り」であり、むしろその逆風下で「増配」を維持した点こそ、経営の還元姿勢を証明しています。
「景気循環の底」で「高配当・高ROE」株を仕込む、絶好のエントリーポイントとなる可能性が高いと評価します。
主な投資用語の解説
PER (株価収益率): 株価が1株当たり純利益の何倍かを示す指標。低いほど割安とされる。
PBR (株価純資産倍率): 株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標。1倍が解算価値とされ、低いほど割安とされる。
ROE (自己資本利益率): 企業が自己資本(株主資本)を使ってどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標。高いほど収益性が良い。
株主総還元率: 企業が株主にどれだけ利益を還元したかを示す指標。「配当金支払額」と「自社株買い取得額」の合計を、純利益で割って算出する。(泉州電業は50%以上を公約)
配当性向: 企業が純利益のうち、どれだけを配当金として株主に支払ったかを示す割合。(泉州電業は35%以上を目安)
自己資本比率: 総資産に占める自己資本の割合。高いほど財務の安全性が高い(泉州電業は53.8%と非常に高い)。
ネットD/Eレシオ (純有利子負債自己資本比率): 実質有利子負債が自己資本の何倍かを示す指標。低いほど(マイナス含む)財務の安全性が高い。
泉州電業(9824)の分析、いかがでしたでしょうか。 「業績下方修正なのに、なぜ増配?」という疑問の答えは、同社が持つ2つの強さにありました。
- 「自己資本比率53.8%」「実質無借金」という鉄壁の財務 多少の景気循環(シクリカル)な不況ではびくともしない「財務要塞」を持っているため、短期的な利益の落ち込みに関わらず、配当を出し続ける余力が十分にあります。
- 「総還元率50%以上」という経営陣の明確なコミットメント 「稼いだ分は株主にしっかり還元する」という方針を中計でコミットしています。今回、逆風下でも増配を維持したことは、この約束が本物であることの何よりの証明となりました。
今回の大幅増配(150円)のフリーキャッシュフロー(本業の稼ぎ)に対する配当支払い余力は全く問題なく、「タコ足配当」とは無縁です。
直近の下方修正は、同社の競争力が失われた「構造的な悪化」ではなく、半導体・建設需要の「一時的な先送り」に過ぎません。
結論として、泉州電業(9824)は、短期的な株価下落に動揺せず、長期的な配当(インカム)を狙う投資家、特に「新NISA」のポートフォリオの中核として、絶好の「買い場」を提供している可能性が高いと評価します。
(※投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。)
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