「今週のアメリカ株、すごいことになりましたね！」
月曜日から木曜日まではAIブームに乗り、株価はどんどん上昇。「このまま上がり続けるかも？」と誰もが思った矢先、金曜日にまさかの急落！一体何があったのでしょうか？
今週の米国市場を揺るがした「AIへの期待」と「貿易摩擦の不安」。この二つの大きな出来事を、投資初心者の方でもスッキリわかるように、ポイントを絞って解説していきます。この１記事で、今週の値動きの理由が丸わかりです！
2025年10月6日～10月10日の市場動向
【2025年10月12日】AIブームから貿易摩擦の懸念へ：米国株式市場、乱高下の一週間を振り返る
まるでジェットコースター！週前半はAIへの期待で史上最高値を更新したかと思えば、週末には貿易摩擦の再燃懸念で急降下。今週のマーケットで何が起きたのか、初心者の方にも分かりやすく解説します。
ウォール街のジェットコースター、今週の結果は？
2025年10月6日から10日までの米国株式市場は、まさに激動の一週間でした。週の前半はAI（人工知能）関連の明るいニュースに牽引されて株価が大きく上昇しましたが、週末の金曜日には米中関係の悪化を懸念するニュースが飛び込み、週の上げ幅をすべて吹き飛ばすほどの急落に見舞われました。
この一週間は、市場がいかに予測不能なニュース（ヘッドライン・リスク）に弱いか、そして一部のテーマに人気が集中しているときの危うさを浮き彫りにしました。
ヘッドライン・リスクとは？
新聞やニュースサイトの見出し（ヘッドライン）になるような、政治・経済の突発的なニュースによって、株価が大きく変動してしまう可能性（リスク）のことです。
主要指数の週間パフォーマンス
| 指数名 | 週間終値 | 週間騰落率 (%) | 簡単な説明 |
|---|---|---|---|
| ダウ工業株30種平均 (DJI) | 45,479.60 | -0.2% | 米国の代表的な大手企業30社の株価を元に算出される指数。 |
| S&P500種株価指数 (SPX) | 6,552.51 | -0.5% | 米国市場全体を反映するとされる、主要500社の株価からなる指数。 |
| ナスダック総合指数 (IXIC) | 22,204.43 | -0.8% | ハイテク企業やIT関連企業が多く含まれる指数。 |
| VIX指数 | 21.66 | +30.5% | 「恐怖指数」とも呼ばれ、市場の不安感を示す。数値が高いほど警戒感が強い。 |
※週間騰落率は本レポートのシナリオに基づき算出された参考値です。
特に注目すべきはVIX指数の急騰です。金曜日のたった一日で市場のセンチメント（投資家心理）が「楽観」から「恐怖」へと一変したことを物語っています。
市場を揺るがした「AIの熱狂」と「地政学の恐怖」
今週の市場は、二つの大きな力が綱引きをするような展開でした。週前半はAIへの期待感が市場を押し上げ、後半は政治的な懸念が市場を冷やしました。
AIが牽引した上昇（月～木）
週明け、半導体大手のAMDとAI開発で世界をリードするOpenAIが大規模な提携を発表したことが、熱狂の始まりでした。これはAI開発に必要なインフラ競争がさらに激化することを示唆し、AMDの株価は1日で20%以上も急騰。このニュースがAI関連株全体を押し上げ、ナスダックとS&P500は史上最高値を更新するほどの盛り上がりを見せました。
地政学リスクによる崩壊（金）
しかし、この楽観ムードは金曜日に一変します。トランプ前大統領が、中国に対して大規模な追加関税を課す可能性を示唆したのです。この発言は、米中間の貿易戦争が再燃するとの恐怖を呼び起こし、投資家は一斉にリスクを避ける動き（リスクオフ）に出ました。
リスクオフとは？
投資家が先行きに不安を感じ、株のような値動きの激しい「リスク資産」を売って、国債のような比較的安全な「安全資産」に資金を移す動きのことです。
特に、中国に生産拠点や大きな市場を持つハイテク企業が多く売られ、週前半の上昇を支えていたまさにそのセクターが、今度は下落の震源地となってしまいました。
今週の主役たち：注目された個別企業
市場全体の大きな動きの裏で、各企業も様々なドラマを繰り広げました。今週特に注目を集めた企業をテーマ別に見ていきましょう。
| 企業名 (ティッカー) | 企業概要と今週の動き |
|---|---|
| テーマ1：AI軍拡競争の主役たち | |
| アドバンスト・マイクロ・デバイセズ (AMD) | PC向けCPUやGPU（画像処理半導体）で知られる半導体大手。OpenAIとの大型提携発表で株価が爆発的に上昇し、AI市場での存在感を一気に高めました。 |
| エヌビディア (NVDA) | AI向けGPUで圧倒的なシェアを誇る半導体メーカー。AMDの躍進が脅威と見なされたことに加え、米中対立の懸念から金曜日に大きく売られました。 |
| テーマ2：貿易戦争の犠牲者 | |
| テスラ (TSLA) | イーロン・マスク氏が率いる電気自動車（EV）メーカー。生産・販売ともに中国への依存度が高く、貿易摩擦の再燃懸念から株価が急落しました。 |
| アマゾン・ドット・コム (AMZN) | 世界最大のEコマース（電子商取引）およびクラウドサービス企業。Eコマース事業で中国製品を多く扱うため、関税引き上げによるコスト増が懸念されました。 |
| テーマ3：業績が明暗を分けた企業 | |
| ペプシコ (PEP) | スナック菓子や飲料で世界的に有名な食品大手。好調な決算を発表したことに加え、不況に強いディフェンシブ銘柄としてリスクオフ局面で買われました。 |
| デルタ航空 (DAL) | 米国の主要航空会社の一つ。記録的な好決算を発表しましたが、市場全体の地合い悪化に飲み込まれ、株価は週間でマイナスとなりました。 |
| フェラーリ (RACE) | イタリアの高級スポーツカーメーカー。発表した長期経営計画が市場の期待を下回り、株価が歴史的な急落を記録しました。 |
| オラクル (ORCL) | 法人向けソフトウェアやクラウドサービスを提供する大手IT企業。AIクラウド事業の利益率の低さが報じられ一時売られましたが、週間ではプラスを確保しました。 |
| テーマ4：その他注目の動き | |
| マイクロソフト (MSFT) | ソフトウェア、クラウド（Azure）、AIで世界をリードする巨大IT企業。AI需要の急増によるデータセンター容量不足が報じられ、株価が下落しました。 |
| アケロ・セラピューティクス (AKRO) | バイオ医薬品企業。大手製薬会社による買収が発表され、市場の混乱とは無関係に株価が急騰しました。 |
| ユーアイパス (PATH) | RPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）ソフトウェアのリーディングカンパニー。AI関連の新たな提携発表が好感され、株価が大きく上昇しました。 |
今週の米国株式市場を振り返ると、「AIブーム」という追い風と、「米中対立」という向かい風が激しくぶつかり合った一週間でした。
この経験から私たちが学べるのは、市場は常に予測不能なニュース一つで雰囲気がガラリと変わる可能性がある、ということです。特に、AIのような特定のテーマに人気が集中している時は、その反動も大きくなりやすいのかもしれません。
来週は、本格化する企業の決算発表シーズンに注目です。企業の「稼ぐ力」がしっかりしていれば、一時的な政治ニュースによる下落は乗り越えられるはず。
目先の株価の動きに振り回されず、自分が信じた企業を応援する気持ちで、どっしりと構えて投資を続けていきたいですね。
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