9月の好調な相場から一転、10月に入り株価は大きく下落。年度後半の波乱の幕開けに、「一体何が起きているの？」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

特に、コツコツと資産形成を目指す高配当株投資家にとって、市場全体の大きなうねりは悩みの種ですよね。

しかし、こんな時こそ冷静な分析が光ります。今回のレポートでは、なぜ市場全体が売られたのか、その背景にある「機関投資家の動き」や「金利」といった複数の要因を分かりやすく紐解きます。

そして、全体が下げる中でもキラリと光る動きを見せた銘柄、あるいは絶好の買い場が近づいているかもしれない優良銘柄はどれか。高配当株投資家ならではの視点で、今日の市場を一緒に深掘りしていきましょう。短期的なノイズに惑わされず、長期的な成功へのヒントがここにあります。

【2025年10月1日】 日本株市場レポート

高配当株投資家のための市場深掘り解説

目次

• 市場概況
  • 日経平均株価
  • TOPIX
  • プライム市場騰落数
  • 東証プライム 騰落レシオ(25日)
  • 日経平均株価 寄与度ランキング
• セクター動向
  • 東証33業種別 騰落率 (上位・下位5業種)
• 高配当株スポットライト
• 特別注意銘柄
• 各種ランキング

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市場概況

2025年度下半期の初日となった10月1日の東京株式市場は、リスク回避の売りが優勢となり、主要株価指数は軒並み大幅に下落しました。9月の好調相場から一転、期初に伴う機関投資家のリバランス売りが最大の売り圧力となったほか、日銀の追加利上げ観測、米政府機関の一部閉鎖、円高進行という複数の悪材料が重なり、投資家心理が悪化。東証プライム市場では全体の9割以上の銘柄が値下がりする全面安の展開となりました。

日経平均株価

44,550.85円

-381.78円 (-0.85%)

TOPIX

3,094.74

-42.86 (-1.37%)

プライム市場騰落数

東証プライム 騰落レシオ(25日)

96.91 %

中立圏

☆ 120％以上……過熱に警戒

　 100％　　……中立

★ 70％以下 ……底値ゾーン

日経平均株価 寄与度ランキング

ソフトバンクG、東エレクといった大型株が日経平均を大きく押し下げた一方、中外薬やファーストリテなどが相場を下支えしました。

セクター動向

東証33業種別 騰落率 (上位・下位5業種)

日銀の追加利上げ観測を背景に、これまで買われていた銀行や不動産セクターが大きく売られました。一方、ディフェンシブセクターである医薬品には資金が流入し、上昇したのはわずか2業種のみという結果でした。

医薬品 (+0.95%): 全体相場がリスクオフムードに包まれる中、景気動向に業績が左右されにくいディフェンシブ銘柄として資金の逃避先に。前日の米国市場で薬品株が堅調だったことも追い風となりました。
その他製品 (+0.60%): 任天堂など、独自の材料や事業モデルを持つ銘柄が指数を支え、セクター全体をプラス圏に押し上げました。

銀行業 (-3.07%): これまで日銀の利上げ期待を背景に上昇してきた反動で、期初の利益確定売りの格好のターゲットとなりました。長期金利の上昇は本来プラス材料ですが、短期的な需給要因が上回りました。
不動産業 (-2.83%): 金利上昇は、企業の借入コスト増加や住宅ローン金利の上昇に直結するため、業績への悪影響が最も懸念されるセクターの一つとして大きく売られました。
証券・商品先物取引業 (-2.76%): 株式市場全体の地合い悪化が、取引高の減少や投資家心理の冷え込みに繋がるとの連想から売りが優勢となりました。

高配当株スポットライト

本日の市場で特徴的な動きを見せた高配当株をピックアップ。銘柄名をクリックすると、楽天証券の株価情報ページに移動します。

(注：データは2025年10月1日時点、または直近の決算発表時点のものを基に作成。)

特別注意銘柄

日本ヒューム (5262)

終値3,530円（-9.49%）

配当利回り

1.40%

【ネガティブ材料】 個別の悪材料は観測されないものの、前日比-9.49%と急落。市場全体の地合い悪化に加え、中型株特有の流動性の低さが、一旦売りが出た際の下げ幅を大きくした可能性があります。

【分析】 現金配当利回り自体は1%台と低いものの、「プレミアム優待倶楽部」のポイントを付与する株主優待が特徴です。この急落は、優待を含めたトータルリターンを重視する投資家にとって、投資判断を再考するきっかけになるかもしれません。

【株主還元方針】 安定配当の継続に加え、株主優待制度（プレミアム優待倶楽部）を実施しています。

各種ランキング

コード	銘柄名	現在値	前日比(%)	利回り(%)

本日の株式市場は、年度初めの特殊な需給要因と、国内外の複数の懸念材料が重なり、多くの銘柄にとって厳しい一日となりました。しかし、高配当株投資家としてこの状況から学ぶべき重要な教訓が3つあります。

1. 「良い会社」でも市場の波には逆らえない時がある： ユニ・チャームのような連続増配銘柄でさえ年初来安値を更新したように、どんな優良株も市場全体の「地合い」という大きな力の前では下落することがあります。これを理解し、短期的な値動きで狼狽しないことが重要です。
2. 逆風下でこそ「企業の姿勢」が試される： インフロニアHDが大幅増配を好感されて急騰した一方、多くの銘柄が売られました。市場が不安定な時こそ、企業が掲げる「株主還元方針」の強さが、株価の羅針盤となり、下支えとなります。
3. マクロ要因による下落は「絶好の機会」にもなりうる： 銀行株や不動産株のように、個別の業績ではなく「金利が上がるかもしれない」というマクロな不安で売られた優良銘柄は、長期的な視点で見れば魅力的な買い場を提供してくれる可能性があります。

日経平均は重要なテクニカルポイントである25日移動平均線に近づいており、ここから反発できるかどうかが短期的な焦点となります。しかし、私たちは短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、今日の動きを「優良な高配当株を、市場が作り出したバーゲンセールで仕込むチャンスかもしれない」という視点で冷静に観察し続けることが、将来の大きな果実へと繋がるはずです。

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